個人的 パーカー音源紹介 15
録音音源:
1951年 Hollywood/Julie McDonald's Placeでのライブ録音
主な収録CD:
royal jazz「More Unissued Vol.1」
1951
(as )C.P.
(ts )Teddy Edwards
(tp )unknown
( p )unknown
( b )unknown
( d )Roy Haynes,Lawrence Marable

  1. Embraceable You
  2. Hot House
More Unissued Vol.1

 データを調べても、なんだかとらえどころのない音源ですけど、録音されたかんじからみると場所はどこかのちいさめのクラブでしょうか。
Embraceable You」が優雅にしっとりと演奏されています、されてますけど・・・。

 こらっそこの客の団体、静かに演奏を聴けっ。なごやかに手をたたいて笑いだすな。おまえはビレッジバンガードのエバンスの客かっ。

 さて、二曲目の「Hot House」には、テナーのテディーエドワーズが参加しているのが、気になります。
 実際聴いてみると、あれ、このひとってこんなクキクキと、めりはりのあるソロふいてたっけという印象の、短い時間で終わってしまうのが惜しいソロです。
 そしてパーカーですが、後半になって演奏がもりあがるにつれて、執拗に高音部を攻めまくる緊張感のあるおもしろいフレーズをきかせてくれます。

 こういうところがききのがせないんだから、お客さん達もまじめに聴いてね。

 

 

1999 5.13 よういち 



 

 この音源についてはいろいろ情報が錯綜してまして、下記の時期、場所、メンバーだと主張する人もいます。

1951年 7月14日 Altadena, C.A./Jirahr Zorathian's Ranchでのライブ録音
C.P, Frank Morgan (as ), Don Wilkerson(ts ), Amos Trice( p), Dave Bryant( b ), Lawrence Marable( d )

テナーに関して言うと、たしかにわたしの持つテディ・エドワーズのイメージと違うんですよね。
真相のわかる方いませんか?

 

2000. 4.22 よういち 



 

 前回はさらっと流してしまいましたが テディ・エドワーズの代わりに浮上してくるテナー奏者が・・・ドン・ウィルカーソン?

 実際はほとんど聴いたこと無いんでよくわからないんですが、この人って'60年代初頭にブルーノートとかで活躍したソウルっぽいテナーを吹く人じゃなかったっけ?なんでこんなところに名前が挙がってくるの?

 アルバムを持っていないので1枚買って聴き比べてみました(ちなみに買ったのは、BLUE NOTEの「ELDER DON」)。ウィルカーソンのこのリーダーアルバムの方はR&B臭やカリプソ・フレーバーのぷんぷん漂うものでしたが(肩の力抜いて気持ちよく聴けるヨ)、多少うわずり気味の音色に共通点がありました。
テディ・エドワーズよりはドン・ウィルカーソンの吹いている可能性のほうが高いような気がわたしにはします。

ウィルカーソン・ファンはこの事を知っているのだろうか。

 

 

2000. 5.20 よういち 



 

 あれっ?するとなにか?ウィルカーソンのあとに続くアルトは再びパーカー、ではなくてフランク・モーガンか?

 

 

2002. 1.24 よういち 



 

 音源紹介56の音源を聴いて、この音源がウィルカーソンとモーガンのJirahr Zorathian's Ranchでのセッションと確信が持てました。このセッション、実はすごいセッションだったことがわかるよ。

 

 

2002.12.14 よういち 



 

 この音源についてようやく全容があらわになりました。下記にあらためて日時・パーソネル・曲名を明記します。

録音音源:
1951年 7月14日 Altadena, C.A./Jirahr Zorathian's Ranchでのライブ録音
主な収録CD:
PHILOLOGY「BIRD'S EYES Vol.32」( Unofficial )
C.P, Frank Morgan (as ), Don Wilkerson(ts ), Amos Trice( p), Dave Bryant( b ), Lawrence Marable( d )

1. Night in Tunisia
2. How High the Moon / Ornithology
3. Embraceable You
4. Hot House

 さらに2曲分の音源が発掘されました。追加音源も含めてこの音源を聴きとおすことで、このライブは、同メンバーで演奏されている「音源紹介56」の音源同様のねっとりとした熱い空気の感じられるライブだったことがわかります。
 どの曲の演奏もいい雰囲気なのですが、わたしの気に入っているのは「How High the Moon」です。常に音が奥に引っ込みがちなウィルカーソンのソロが、ここでは実に生き生きとして良い。身もだえしそうな濃厚さと楽しさ満載のフレーズがとびだし、このソロの雰囲気がモーガン達にも伝染していきます。ただしこの曲、出だしが耳をふさぐほどひどいノイズだったり中盤に音が入っていなかったりするのが残念。
 途中で切れていた「Hot House」の演奏の続きも聴けるのもうれしいですね。モーガンの、何かに取り憑かれたかのようなソロを存分に味わえます。

 それにしても、この音源を聴きとおすことでわたしはわかりました。
 3年半前の上記の文章でうるさい客に腹をたてていた自分がバカでした。
 客はこの熱気とファンキーさを求めてやってきたんですね。その客の前で「Embraceable You」を優雅にしっとりと演奏するほうが場違いだったのかも。


2002.12.28 よういち 


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