個人的 パーカー音源紹介 60
録音音源:
1946年 4月 22日 L.A. Embassy Theatre でのコンサート
主な収録CD:
Verve「Jazz at the Philharmonic 1946」
「THE COMPLETE CHARLIE PARKER ON VERVE」
1946/ 4/22
(as )C.P., Willie Smith
(ts )Coleman Hawkins, Lester Young
(tp )Buck Clayton
( p )Kenny Kersey
( g )Irving Ashby
( b )Billy Hadnott
(ds )Buddy Rich
  1. I Got Rhythm
  2. JATP Blues
Jazz at the Philharmonic 1946


1月28日のコンサートから3ヵ月後のJ.A.T.Pコンサート、当時と比べるとリズム隊が強靭になったのではないでしょうか。アーヴィング・アシュビーのギターがリズムをきざみ、そこにバディ・リッチのドラムがかぶさって、前回とは比べ物にならない分厚いサウンドになっています。ビリー・ハドノットのベースも今回は太く聞こえてきます。
リズム隊が充実したせいか、J.A.T.Pらしく楽しくスウィングする、より盛り上がった演奏に聞こえてきます。

一番大きいのはドラムスがリー・ヤングからバディ・リッチに変わったことでしょう。同じスイング・ドラマーの範疇になるとはおもうのですが、オカズの増え方といい盛り上げ方といいバディ・リッチのほうが一枚上手かなあ、とおもいます。

I Got Rhythm」の演奏がわたしは好きです。この盛り上がり方は1月のコンサートでの演奏には感じられないものです。分厚いリズムの中で全員の気分も高揚しているように感じられて、誰もが良いソロをしているとおもいます。特に好きなのがコールマン・ホーキンスの迫力のソロ、最後のコーラスのサビに入るときの咆哮が一番のハイライトだと個人的にはおもっております。

そんななかでパーカーも1月のアップテンポでの演奏よりもずっと気持ちよいソロを聴かせてくれます。盛り上がったJ.A.T.Pの空気にしっくり溶け込んでいるように感じます。やはりリズムが変わったのが作用しているのでしょうか。
バディ・リッチのドラムは基本的にはリー・ヤングと同じ系統だとおもうのですが、シンバル・レガートがより強調されているところが、パーカーのサウンドに馴染んでいるのではないのかなと感じます。そこにギターとベースがザクザク・ボンボンとかぶさってきて、スピード感はないですがひたすらじっくりと、そして派手にスイングさせてくれます。
ここまでリズム隊がやってくれればパーカーのソロもよりスイングして聞こえて気持ち良いです。観客にもパーカーの気持ちよさが伝わったのではないでしょうか。パーカー自身もちょっぴり高揚しているようにも感じられます。

そして、一番聴いてほしいところがこの曲の締めくくりです。ドラムソロが終わりトランペットの吹いているバックに全員がリフを奏でているところで、サビのスペースをパーカーにまかされます。ここでのパーカーのより高らかなサックスの音、きちっと美しく完結したフレーズが非常に気持ちいいんです。何度聴いても飽きません。

ところで、この音源には演奏者が紹介されるシーンが入っており、ノーマン・グランツが各人の名前を告げるたびに観客から歓声があがるのですが、コールマン・ホーキンス、レスター・ヤング、バック・クレイトン、バディ・リッチなどの大物が大きな歓声を受ける中、パーカーの名前が告げられた時にもひけを取らない歓声を受けています。まだ1946年当時ではありますが意外にパーカーの名前と演奏は知れ渡っていたのかなという思いがします。
ただし、このときはパーカーとウィリー・スミスの名前がまとめて紹介されてしまっているようで、本当はどちらに向けられた歓声かわかったものじゃないのですが。

 

 

2003.9.18 よういち 

 

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