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この頃のジェイマクシャンのバンドは1940年の演奏に比べるとバンドの人数も増えて、より音が分厚く、黒くなり、めざましい充実ぶりです。その中でのパーカーといえば、パーカーらしさがより現れてきながらもバンドに素直に溶け込んでいます。 1940年の演奏のようにパーカーのソロが浮いてしまうような部分はなく、パーカーのサウンド全てがマクシャンのバンドのサウンドの一部として自然に機能しているように感じます。その理由としては、パーカーの青く澄んだ音にうっすらと黒光りしたツヤがこの録音から感じられるせいなのではないかとおもいます。 '40年当時の周囲から浮いたように感じる異空間ソロはそれはそれで快感なのですが、マクシャンのバンドで揉まれたこの黒さも非常に快感ですね。 さらにパーカーのソロは、よりバンドにとけこみながらも、より発展していっている様が見て取れます。 「The Jumpin' Blues」では「Ornithrogy」のテーマになった出だしのメロディを始め、あちこちで40年代中期以降のパーカーフレーズの萌芽が見られます。 「Sepian Bounce」ではバンドの迫力のあるリフに支えられながら、なまめかしく黒いツヤをのぞかせた極上のソロが聴けます。フワフワと空に舞い上がってしまいそうなメロディーです(余談ですが「Sepian Bounce」のソロのフレーズが、そのままソニースティット作曲の「The Eternal Triangle」や、ジョージウォーリントン作曲の「Sweet Blanche」に使われていますね)。 パーカーのルーツを感じさせながらもこの先の輝かしい未来を感じさせる演奏です。 でもパーカーの演奏だけがこの音源の楽しみではありません。パーカーのソロを楽しむと同時に、肩の力を抜いてパーカーのバックグラウンドであるカンサスシティジャズの分厚いサウンドに浸るのが、最大限にこの音源を楽しむコツではないかと思います。
2003.8.23 よういち
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