個人的 パーカー音源紹介 39
録音音源:
1950年10月23日 Chicago Pershing Hotel Ballroomでのライブ
主な収録CD:
「The Complete live performances on Savoy」
Savoy「an EVENING at HOME with THE BIRD」(大部分)
1952/ 9/26
(as )C.P.
(ts )Claude McLin
( p )Chris Anderson
( g )George Freeman
( b )Leroy Jackson
(ds )Bruz Freeman

  1. There's a Small Hotel
  2. These Foolish Things
  3. Keen and Peachy
  4. Hot House
  5. Swivel Hips (Bird, Bass and Out)
  6. Goodbye
an EVENING at HOME


 シカゴのパーシングホテルボールルームでの、地元つわものミュージシャンとの共演ライブ。聴いた感じだと割と大箱の会場のコンサートのようです。個人的に、こういった大きな会場のコンサートライブでお気に入りのものは少ないのですが、この音源は例外です。

 テナーのクロードは図太い豊かな音色で、たゆたうようなレスター直系のフレーズを余裕しゃくしゃくに歌い上げます。パーシングホテルへのあてつけのようなスタンダード曲「There's a Small Hotel」にて、悠揚迫らぬプレイをしています。そこには自分のテナーの味を、自分のいいところを聴衆へ伝えようとする色気がそこはかとなく感じられます。それはギターのジョージ・フリーマンにもいえることで、このギタリストはおそらく純粋なバッパーとは違うとおもうんですが、アップテンポの曲でもとにかく弾けるところまで弾ききってしまおうという意志を感じさせるところが微笑ましいです。

 さて、チャーリー・パーカー。
 パーカーは最初から最後までおなじみのパーカーフレーズを駆使したプレイで、なんの躊躇もてらいもなく、個人の持ち味といったレベルを超越した、天井まで突き抜けるようなまっすぐな図太い音色を会場中に響かせています。
 そのサウンドは、何の邪念もよけいな色気も混じることのない、ただひとつの透明なサウンドとしてこちらには響いてきます。パーカーのサウンドの中には「客に受けよう」などという考えはもとより「客を楽しませよう」「いいプレイをしよう」「自分のいいところを披露しよう」という意志さえ感じられません。実際パーカーが演奏中になにを考えていたかわかるわけがありませんが、ワタシ達のできることはただそのサウンドを身体で感じることのみです。余計な色気が削ぎ落とされたサウンドはダイレクトにわれわれの肌身に沁み込んでいきます。

 「良いプレイをしよう、聴かせよう」、こういった色気の有無の違いでパーカーとシカゴのミュージシャンの演奏はまったく対照的なものにきこえます。どっちが良い悪いというわけではなく、これは本人の音楽のコンセプトの問題だとおもいます。ですのでどっちも楽しみましょうね。

 余談ですが、イラストに書いた「an EVENING at HOME with THE BIRD」のレコードの音源には、拍手を後から合成して付け足してあるのがバレバレで笑わせてくれます。

 

 

2000. 4. 1 よういち 

 

 

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