個人的 パーカー音源紹介 37
録音音源:
1952年 9月26日 N.Y. Rockland Palace Ballroomでのライブ
主な収録CD:
Jazz Classics「The Complete Legendary Rockland Palace Concert」
Collectables「"BIRD" IS FREE」(一部分)
1952/ 9/26
(as )C.P.
( p )Walter Bishop Jr.
( g )Mundell Lowe
( b )Teddy Kotick
(ds )Max Roach
and String Section
  1. East of the Sun ( I )
  2. This Time the Dream's on Me
  3. Cool Blues
  4. I'll Remember April
  5. Laura
  6. What is This Thing Called Love ( I )
  7. My Little Suede Shoes
  8. Lester Leaps in
  9. I Didn't Know What Time It was
  10. Reptition ( I )
  11. Just Friends ( I )
  12. Rocker ( I )
  13. April in Paris
  14. Out of Nowhere
  15. Rocker ( II )
  16. East of the Sun ( II )
  17. Sly Mongoose ( I )
  18. Moose the Mooche ( I )
  19. Stardust
  20. Easy to Love ( I )
  21. Dancing in the Dark
  22. Just Friends ( II )
  23. Ornithology
  24. Don't Blame Me
  25. What is This Thing Called Love ( II )
  26. Everything Happens to Me
  27. Repetition ( II )
  28. Gold Rush
  29. Sly Mongoose ( II )
  30. Moose the Mooche ( II )
  31. Star Eyes
  32. Easy to Love ( II )
BIRD IS FREE


 有名なパーカーのロックランドパレスでのライブ。確かにスゴイ。スゴイのだけど、このライブを絶賛するにやぶさかでないのだけれど、この音源を聴くときいつも複雑な思いが頭をよぎって、私は素直にこの音源を楽しむことができなかったりします。

 実はこの音源のCDを現在私は5つ持っていたりしますが、それも収集癖によるものではなく、やむにやまれぬ理由があります。
 その理由とはCDの音源の再生ピッチがそれぞれ違っているということなんです。 どれが正しいピッチの音源なのか、いったいどれを聴いて楽しめばいいのかがわからない。ひたすら正しいピッチとおもわれる音源を探している状態です。

 たとえば、名演「Lester Leaps in」。パーカーのソロだけを抜き出して、その時間を測るとかなりの差が出ます。

Sound Hills「PERFECT COMPLETE COLLECTION」・・・3:25
Collectables「"BIRD" IS FREE」・・・3:17
Century Records「"BIRD"SYMBOLS & "BIRD" IS FREE」・・・3:17
PARADE「THE HIGHEST FLYING BIRD」・・・3:19
Jazz Classics「The Complete Legendary Rockland Palace Concert」 ・・・3:29
(参考)映画「BIRD」サウンドトラック ・・・3:29

 実は上記に加えてもう一枚 RHINO「Be Bop & BIRD, Vol.2」を持っていたんですが度を越して再生ピッチが速すぎたのでフリーマーケットで売っぱらってしまいました。

 まちまちなピッチの音源の中でどれが正しいものなのか、音程のズレから判別出来る耳を持っているわけでもないので迷ってしまいます。観客の歓声の声色やドラムの響きが一番まっとうなもの、そしてアカデミックなバーニーケッセル(なんだそりゃ?)といった風情のマンデルロウのギターの雰囲気の一番出ている音源、そこから判断すると、Sound Hills「PERFECT COMPLETE COLLECTION」がまっとうなのかなという気が今までしてました。
 ところが昨年出版されたClaude Schlochのディスコグラフィーには、Jazz Classics「The Complete Legendary Rockland Palace Concert」の再生ピッチが一番正しい、と記載されていました。
 ふ~ん、そんなものなのかな、たしかに映画「BIRD」の加工された音源のソロの時間とも一致するしね、よかった、正しいものがわかって、とおもって、あらためてこの音源で「Lester Leaps in」を楽しもうとするのですが・・・。親切にもこの曲ではステレオ仕様という画期的なことをしているのですが、そのやり方というのが、演奏当日におのおのまったく別の人が別の場所で録音した音源をつなぎあわせて左右のスピーカーに振り分けるというチカラワザで、これが見事にステレオになっていない!うっとおしいだけだったりします。いったいどのCDの音源で「Lester Leaps in」を楽しめばいいのだ!
 でもこういうチカラワザ自体はわたしは結構好きよ。

 さて、余計な話が続きましたが、この音源はパーカーのサウンドの切れ味も好調で、ずぶとく透明な音色と会場の雰囲気を包み込んだ録音も良く、再生ピッチのことを考えなければおすすめできる音源です。
 「Lester Leaps in」のソロでは、尽きることがないかのようにあふれだすフレーズに、こちらはボーゼンと口をあけて聴いているしかないです。その熱演に観客もこたえてパーカーを煽り立てています(もういっぺん!もういっぺん!といっているようにきこえる)。
 わたしのお気に入りは、ラテンのリズムのバックに乗って高みに上っていくような「My Little Suede Shoes」。ほかにも「This Time the Dream's on Me」「Ornithology」などオススメ出来るものがたくさんあります。またJazz Classics「The Complete Legendary Rockland Palace Concert」のなかにはストリングスとの共演がたくさん入っていますので一度聴かれるといいと思います。

 この音源の良いところは会場の雰囲気、歓声がダイレクトに伝わってくるところですが、ときどき観客のオッチャンがパーカーのソロやストリングスの演奏にあわせてスキャットしたり口笛を吹いたりしています。うっとおしいけど微笑ましいですね。  

 

 

2000. 2.19 よういち 




Jazz Classics「The Complete Legendary Rockland Palace Concert」の「Lester Leaps in」の楽しみ方について、以前に世のパーカーフリークが集まった機会に聞いてみました。

「アンプのスピーカーバランスを左右どちらか最大にして、それぞれの音源をモノラルで楽しむ」というのが、そのときの答え。

なるほど。一粒で二度おいしい。

個人的には少々収録が短くても、会場の空気感と響き渡るパーカーの音を包み込んだ右側の音源が好き。


2003. 9.27 よういち 

 

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by CMG Worldwide Inc. USA

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