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一聴して気になるところは、なんといってもパーカーとソニークリスとのアルト対決でしょう(別に戦っているわけじゃないんだけど)。でも、この勝負の判定は、パーカーファンにとってはパーカーの勝ち、クリスファンにとってはクリスの勝ち、と結構単純にあっさり結論付けられてしまうんじゃないでしょうか。 というのも、このふたり初めて聴くと、見分け(聴き分け)がつかないほど似ていたりはするものの、音楽のコンセプトがまったく違うからです。 パーカーが淡々とクールに、芯のある音で身体の内側にもぐりこんでくるようなフレーズを丹念に置いていくのに対して、クリスは、もう熱さむきだしでクリスのサックスの「味」を思い切りぶつけてきます。
「味」を出す、という行為は、ビ・バップ(というかパーカー)以降のジャズメンにとっての残り少ない道なのでは、と個人的にはおもってしまいますが、クリスは惜しげもなくここでその「味」を発揮しているという意味で、もうぜっこうちょうです(ぜっこうちょうの「ぜつ」は「舌」の「ぜつ」と書きます~)。パーカーと共演できてよっぽどうれしかったんでしょうね。
パーカーもよっぽど無責任に吹きまくるようなイメージがありますが、クリスに比べたら、とても繊細なバランスの取れたフレーズなんだということが感じ取れるとおもいます。鍛練の賜物か、はたまた本能と体質によるものか。 クリスの「味」、パーカーの身体に訴えかけるサウンド、自分がジャズに求めるものを選んで楽しめば良いのではないでしょうか。
さて、二人に隠れてしまって目立たなくなってますが、ジャズクラブの暗い小屋に射し込む一筋の太陽の光のようなチェットベイカーのトランペットも好調です。 あと、全然どうでもいいけど「Trade Winds」というジャズクラブの店名が大好き。
1999. 8.21 よういち
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