個人的 パーカー音源紹介 21
録音音源:
1945年11月26日  Savoyでのスタジオ録音
主な収録CD:
Savoy「The Savoy Recordings -Master Takes-」(Master Takes)
「The Complete Charlie Parker on Savoy Years」(Complete)
1945/11/26
(as )C.P.
(tp )Miles Davis, Dizzy Gillespie
( p )Dizzy Gillespie, Sadik Hakim
( b )Curly Russell
(ds )Max Roach

 

  1. Warming Up a Riff
  2. Billies Bounce ( x5 takes )
  3. Now's the Time ( x4 takes )
  4. Thriving on a Riff ( x3 takes )
  5. Meandering
  6. Ko Ko ( x2 takes )
The Savoy Recordings -Master Takes-

 何はなくとも、わたしにとっては「Warming Up a Riff」。この演奏を聴いたときからパーカーは、大好きなだけの超一流ジャズマンから、それを超えた、わたしにとって別格のジャズマンへと繰り上がりました。
 おおげさな言い方ですが、なんの虚飾もまじらずに、人間の官能をありのままになぞり描いて、人間という生き物そのものを表現する、というより音によって具現化するという、奇跡的なできごとが繰り広げられます。
 この奇跡が淡々と2分半も続きます。永遠のようにかんじられる2分半。神秘的にケムにまくようなコトバを使うのはホントはすきではないんですが、おもわず「神様ちゃうか・・・?」というつぶやきが出てしまいます。
 3分間のなかにおいしいところの全てを封じ込めようとする、パーカーのミュージシャンとしての意志が結実した「Ko Ko」などの他の曲と違って、超人パーカーの資質そのものによっておもわず生まれた、刹那的な別世界のできごとのようにわたしは感じてしまいます。
 この演奏が、肩慣らしのリハーサル時にたまたま録音されたものだったということに、ジャズの皮肉を感じてしまいます

 他の曲についてですが、マスターテイクばかりをずっと聴いているところへ、たまに別テイクを聴くとその表情の違いにびっくりします。「Billies Bounce」のショートテイク2つ、「Now's the Time」のtake3、Anthropologyのテーマが始めにくる「Thriving on a Riff」、演奏のカラーががらっと変わります。
 「Ko Ko」ではcherokeeのテーマを吹いたところで、著作料の支払いを気にして「やばいって、やばいって」と演奏をあせってストップするサボイの社長サンが笑えます。こんな火の出るようなイントロでなにもチェロキーのテーマをまぜることはないだろう、ともおもいますが・・・。

 それにしても、あいかわらず鼻の奥につーんとしみる音質です。最近はそれがちょっとづつ快感にかわりはじめてきてるんですが・・・。
 

 

1999. 7.10 よういち 


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by CMG Worldwide Inc. USA

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