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何はなくとも、わたしにとっては「Warming Up a Riff」。この演奏を聴いたときからパーカーは、大好きなだけの超一流ジャズマンから、それを超えた、わたしにとって別格のジャズマンへと繰り上がりました。 おおげさな言い方ですが、なんの虚飾もまじらずに、人間の官能をありのままになぞり描いて、人間という生き物そのものを表現する、というより音によって具現化するという、奇跡的なできごとが繰り広げられます。 この奇跡が淡々と2分半も続きます。永遠のようにかんじられる2分半。神秘的にケムにまくようなコトバを使うのはホントはすきではないんですが、おもわず「神様ちゃうか・・・?」というつぶやきが出てしまいます。 3分間のなかにおいしいところの全てを封じ込めようとする、パーカーのミュージシャンとしての意志が結実した「Ko Ko」などの他の曲と違って、超人パーカーの資質そのものによっておもわず生まれた、刹那的な別世界のできごとのようにわたしは感じてしまいます。 この演奏が、肩慣らしのリハーサル時にたまたま録音されたものだったということに、ジャズの皮肉を感じてしまいます
他の曲についてですが、マスターテイクばかりをずっと聴いているところへ、たまに別テイクを聴くとその表情の違いにびっくりします。「Billies Bounce」のショートテイク2つ、「Now's the Time」のtake3、Anthropologyのテーマが始めにくる「Thriving on a Riff」、演奏のカラーががらっと変わります。 それにしても、あいかわらず鼻の奥につーんとしみる音質です。最近はそれがちょっとづつ快感にかわりはじめてきてるんですが・・・。
1999. 7.10 よういち
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