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ノーマングランツがバディリッチを連れてきて、パーカーがセロニアスモンクを連れてきて、偶然そろったメンバー同士の違和感がおもしろい、うんぬん、の評価の多い音源ですが、違和感というよりは、絶妙にユニットとして機能しているメンバー構成だとわたしはおもいます。 パーカーとガレスピー、この二人がフロントだと演奏は図抜けて熱くはじけたものになります。しかしながら、あまりにもスタイルがかみ合いすぎて、実は逆にそれほど相性がよくないのでは、わたしにはそんな気がします。互いに押しっぱなしで引くところが全然なくなってしまうのではないでしょうか。パーカーが自分のバンドにはマイルスを採用したのはさすがというべきでしょう。それでも演奏をHOTにさせるだけなら、この組み合わせがピカイチ。 その燃え盛るフロント陣にに油を注ぐのがバディリッチ。お祭りの好きそうなノーマングランツを満足させる、大爆発を起こしたようなドラムスがフロントを煽り立てます。こんな猛烈なドラムだと、バップドラムでないこととかわたしにはどうでもいいことのようにおもえてきます。パーカーもバディリッチを嫌がることはなかったはずです(それは共演ビデオのなかでバディリッチの演奏を嬉しそうに眺めるパーカーの姿をみれば一目でわかる)。この三人で、演奏は手の付けられないものになります。ですがこれだけだと、まったく引くところのないしまらない演奏にもなりかねません。 その演奏に骨格をあたえて引き締めたものにしてくれるのがセロニアスモンクのピアノ。本人の演奏が冷えているわけではないんですが、熱さもなにもかもを音一つ一つに濃縮して送り込まれるピアノの音が、熱くなりすぎたものを程よく覚ましてくれる、なんというか迎え酒のような役割をしてくれます。散漫になりそうな熱さを引き締めたものにしてくれます。 これらのメンバーが演奏した結果、絶妙にコントロールされた熱さを持った演奏になります。「Leap Frog」も一歩間違えれば、大味なものになってしまいそうなところを、熱くそれでいてコントロールのとれた作品に仕上げています。
どうなるだろうとハラハラしそうなこのセッションは、最後に「Relaxin' With Lee」で仲良しこよしで締めくくられます。わたしの気になっているのは、あきらかにビ・パップとは違う、この曲の演奏です。どこかでこんな感じ味わったような・・・
1999. 6.16 よういち
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