チャーリー・パーカーへの思い入れ
ジャズというジャンルにこだわって20年くらいになりますが、本当にパーカーを気に入ったのは、ヴァーヴの「ナウ・ザ・タイム」を流し聞きしていた時でした。
20年前に最初に買った東芝の「チャーリー・パーカー・オン・ダイアルVOL.1」は、「ムース・ザ・ムーチョ」の連発に耐え切れずにほとんど聞きもせず既に売り払っていて手元になく、 これらを聞いた後に買いに走ったのはパーカーの旬を網羅したと言われている同じダイアルセッションの今度はベスト盤で、東芝のCD「ウエスト・コースト・デイズ」と「イースト・コースト・ デイズ」。 これが良かった。 くる日もくる日も聞いた。およそジャズに手を染めて以来、まるで中学・高校時代のような一人のミュージシャン(あるいはグループ)にこれほど惚れ込むとは 夢にもおもわなんだ。しかも、外見ではなく音楽そのものに純粋にはまった。そういう意味では人生のターニング・ポイントといってもいいほどの体験だった。 その魅力を言葉に表すのは難しく誤解も招くものだがあえていうなれば、 1)音が大きく、輪郭がはっきりしていて、アルトサックスという楽器の圧倒的な存在感が体中に染み渡り、音色そのものに没頭できるエクスタシー。 2)1つ1つがメロディとして優れながらも全体としてまとまりのある、あきのこないアドリブ。 3)まるで呼吸をするかのように自然で湧き水のように溢れ出るメロディー。 4)それまで聞いたことのあるアルト奏者・サックス奏者たちの個性と思っていた要素がすべて取り込まれていると思えるほどのオリジナリティーに対する驚嘆と喜び。 5)曲ごとの適正な解釈・表現(とくにバラードはほとんどアドリブらしいものは感じられないのだがその曲はこう演奏されるべきであるような必然性を感じる)。 6)先手・先手の連続で、リズム陣をどんどんひっぱっていくアドリブの前ノリ感。 といったことであろうか。(ほとんど日本語になっていないなあ) 最近では、「ジャズというのは創造という名を借りた、行き当たりばったりのワンパターン音楽で1枚のLPに一曲めっけものがあれば充分。(中山康樹調)」と思っていたものが
パーカーによって全て払拭された。と言いたいが、ジャズってそんなもんだし、そこも含めて好きだったのだから、はっきり言ってこれはパーカーだけが特別でパーカー・ミュージックがすごいのだと思う。 3年くらい前にそう思って以来、いきなり豹変した私を仲間が相手にするわけはなく、いつも一人でディーン・ベネディッティの録音を聞きながら「うらやましいやつだなあ、こんなに本物を聞くことができて」とため息つきながらも、「いつか自分も手持ちのアルバムすべてからパーカーのソロ部分を採取し、第2のべネッディッティ盤をつくるぞ!」ともくろんでいる私ははっきりいってビョーキです。
2002. 2. 9 斎藤 美幸
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