Bird Lives: 謎

この文章は、素晴らしいパーカー・トリビュートサイト"Bird Lives"掲載の文章を、著者Llew Walkerさんのご好意により、私が和訳したものを掲載したものです。義務教育レベルの英語力で「エイヤァ」と訳したものですので、問題のある個所がいくつもあろうかと思います。間違いをご指摘いただけると幸いです。
また資料的な使い方をする場合は、くれぐれも原文を参照いただきますようお願いします。 (よういち)

原文はこちら:"Bird Lives: Enigma"


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「私はクリストファーなんて名前は知りません。単純にチャーリー・パーカーと呼びます」

謎とは、不可解な物であり、あいまいであり、人を悩ます。チャーリー・パーカーの人生はまさに謎そのものだ。彼の逸話はそれぞれ矛盾し反駁しあい、彼の生活について確実だと思われた事項に、それを否定する話が持ち上がり、完結することがない。彼を良く知る者は死んでしまった。事実がどうだったのか、どうとでも解釈できる逸話を残して。

いくつかの逸話のあいまいさは、パーカー自身のしわざだということに疑念の余地はないと思う。上記の言葉はチャーリーの母であるアディ・パーカーの証言の引用だ。しかしながら、各書籍、雑誌、インターネット、どれを見ても”クリストファー”というミドルネームが書かれていないほうが珍しい(チャーリー・パーカー・”オフィシャル”サイトでさえも書かれている)。パーカーが英国なまりを好んで使っていたのは知られているが、この名前はまぎれもなく英国的だ。この名前はパーカー自身が名乗ったように思う。そうでなかったとしても、間違って名付けられたものをパーカーはあえて直さなかった、ということは言えそうだ。

ロス・ラッセルの本「Bird Lives!: The High Life And Hard Times Of Charlie (Yardbird) Parker」はかなり作り話の含まれたパーカーの伝記であり、誇張した部分は著者のために「気ままな詩趣」を盛り込んだものと受け取れそうだ。ラッセルはパーカーとその音楽をプロモートする既得権を持っていた。ダイヤルレコードを経営し、パーカーの音源を多く所有していた。この波乱に満ちた天才を、彼が荒々しく狂ったように記述すれば、ジャズを聴かない読者にもラッセルの本に興味を持ってもらえるようになり、パーカーのレコードも買ってもらえて、ラッセルはより多く儲けることが出来る。ラッセルの商売人的側面は「ラバーマン」の演奏をダイヤルレコードから発売したことからも伺える。パーカーはその音源を破棄するよう言ったが、ラッセルは結局発売した。パーカーはそれを生涯許さなかった。

不幸にもパーカーを知りたがる大部分の人は、この本を最初に買うことになる。そう、そこにはパーカーの乱行、麻薬の乱用、欲望への忠実さ、信じられないテクニックなどが渦巻き、パーカーの謎をいっそう深めることになる。

パーカーがこの伝記での金儲けに加担していた可能性も言われているが、私にはパーカーがラッセルの本ですっかりはずかしめられたという印象を持っている。数々の他人のサックスを質に入れ、お金を借りっぱなしにする、そんな話はあるけれど、パーカーはきわめて普通の人であって、ラッセルによる彼の描写には感謝してはいないと、私は信じている。

ラッセルはパーカーとは友人だったと言い続けていたが、こんなふうに人の人生を作り話にするとは、いったいどんな友人なのだろう? 

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「まさしくそれは本物の音楽だ。素敵な音を探しながら無心に演奏しているのだ。」
~チャーリー・パーカー



2005. 6.14 Llew Walker
日本語訳 よういち




This text is from "Bird Lives" translated into Japanese,
with permission granted by Llew Walker.

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