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ホント個人的なことなのですが、近年のわたしは、パーカーの音源をMDにダビングしてそれを聴きながら通勤するのが習慣になってまして、最近の傾向としては、あえて曲順がランダムになるようなMDの設定にすることが多くなりました。 これはSavoyのパーカーの音源を聴く際には非常にメリットがありまして、例えばコンプリート集を聴いている際には、ひたすら連続してテイクを重ねる曲も別の曲の演奏とシャッフルされるため、同じ曲の連続聴きでダレるようなことがありません。 また、このランダム設定はCD一枚分のマスターテイク集を聴く際にもメリットを発揮します。通常Savoyのマスターテイク集を聴く際は、いつもCDの頭から聴き始めるせいか、「Warming Up a Riff」「Ko Ko」や「Donna Lee」など初期の演奏を聴くだけで結構満足してしまって、CDの順番で言うと後の方になってしまう'48年代の演奏に耳を傾ける機会が意外と少なかったりするのではないでしょうか。 実はワタシもこのパターンにあてはまっていたのですが。 しかしこのランダム設定を使い始めてから、'48年の演奏も耳に入る機会が増えまして、今まで聴き逃していたパーカーのオイシイ部分がたくさんあることに今更ながら気付かされた次第です。 '48年のSavoyのパーカー、各曲全テイクを辛抱強く聴きつづけていくうちに、フレーズのちょっとしたひねり方・ニュアンス、柔軟性に富むメロディ展開、そこかしこ宝石箱のなかのようにキラキラとした輝きがみられることに気付くことでしょう。「おおっ」と声をあげたくなる瞬間があちこちにちらばっています。 とはいえ、この'48年の9月18日と9月24日の2回に分かれたレコーディング、パーカーの調子には結構な差があったのではないかとわたしには感じられました。 18日の演奏は非常に高水準な内容ではあるものの、実はパーカーの調子はさほど良くなかったのではないかと想像します。たとえばアップテンポの「Constellation」、パーカーにしか出来ない吹きっぷりで最終的に本テイクでは見事な演奏をみせてくれるのですが、終始テンポに素直に乗り切れていないようなあやうい印象を私は受けました。ちょっと気を許せば空中分解してしまいそうな雰囲気を感じます。その緊張感を楽しむのもオツではありますが。 この日の目玉はやっぱりスローテンポの「Parker's Mood」。後年には歌詞まで付けられて、もはや「Parker's Mood」という固有名詞として独り立ちしてしまっている本テイクでのパーカーのソロは言うにおよばず、その他のテイクもマスターテイクとは色合いを変えたブルースとしてしっかり聞かせてくれます。 それでもって、中5日おいた24日になるとパーカーの調子はがぜんあがってきます。 そのなんとも煮え切らない曲名のため、知名度の点でぜったい割をくっていると思われる「Perhaps」を聴いてみてください。 パーカーのソロはあたまからしっぽまで多様なフレーズの言い回し、絶妙なニュアンスに満ちみちています。テイク1,3,6,7どれもソロが才気走っていて、どれが本テイクになってもおかしくないくらいです。 才気走りすぎて2音が反復するようなフレーズを繰り返しすぎて収拾がつかなくなり、最後にパーカーが「へへへ」とテレ笑いして終わるテイク5もありますけど、それはそれでご愛嬌ですね。 ここまで楽しめるようになってくると、もう曲順をランダム設定にしなくても12くらいテイクのある「Marmaduke」さえも飽きずに連続で気持ち良く聴くことができるようになります。ひたすら繰り返されるテイクに、なかばトリップしたような気分になること請け合いですよ。
2002. 7. 30 よういち
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