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チャーリーパーカーを聞きこんでくると、アドリブのフレーズの流れがある程度読めてくるような気になってきます。もちろんパーカーのアドリブがきちんと予測できるわけはないんですが、とくに50年代の演奏にはいると、「 このへんでお得意のこんなフレーズがでてきてもおかしくないな 」となんとなく感じた瞬間に、本当にそのフレーズがでてくるようなことがままあります。 いわゆる「パーカーフレーズ」といわれるものが成熟しきった時期の演奏だと、聴いているうちに、耳がそのフレーズに慣れるんだとおもいます。もっともフレーズに慣れても、パーカーの演奏に対する価値が自分の中でこれっぽっちも下がらないのが、これまたパーカーのすごいところですし、慣れた耳にもたまに強烈にインパクトのあるフレーズをぶつけられるのが、パーカーの恐いところです。
ところが、47年のディーンベネデッティ・レコーディングを聴いてみて下さい。一聴いつものパーカーフレーズかなとおもいながら聴いていると、ふとしたところで、わたしたちの耳を気持ち良く裏切っていくんです。「次はこうくるか、こうくるか?」と瞬間、瞬間でイメージしていくと、そのイメージをギリギリのところでヒョロリ、ヒョロリとかいくぐって、まさに「 汲めども尽きぬ 」といったフレーズが生み出されてきます。 このモザイクの「The Complete Dean Benedettie Recordings of Charlie Parker」は’47年物と’48年物に別れていて、この2つを比べてどちらがベストか考えたりするんですが、2つとも別々の魅力があって、その時その時でコロコロかわります。最近は’48年物に分があったんですが、改めて聴き直してみて’47年物の評価がまたぐんと上がってしまいました。
最後に、ぜひともみんなに聴いてほしいベネデッティですけど、やっぱりこれパーカーを初めて聴くような人には危険な音源かも。テーマを寸断した、パーカーのソロのみの乱雑な収録は、わたしにはとってもロマンをかんじるけど、一般人は錯乱することうけあいです。いや、高い買い物になるだけに老婆心ながらご忠告ですけど。
1999. 4.28 よういち
最近とみに気になってきて、しょっちゅう聴いているのが「Sentimental Journey」。 こんなにも艶を感じる、しなやかな高音のアルトサウンドはこの時期のパーカー独特のものかな、とまでおもってしまいますが。
2000. 9.26 よういち
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