個人的 パーカー音源紹介 13
録音音源:
1947年 3月 6日  L.A. Hi-De-Ho Clubでのライブ録音
主な収録CD:
Mozaic「The Complete Dean Benedettie Recordings of Charlie Parker」
1947/3/6
(as )C.P.
(tp )Howard McGhee
( p )Hampton Hawes
( b )Addison Farmer
( d )Roy Porter
(vcl)Earl Coleman or Danny Knight

  1. Sportsman's Hop
  2. Night in Tunisia
  3. The Very Thought of You
  4. Perdido
  5. Now's the Time
  6. Wee (Big Noise)
  7. Hot House
  8. Stuffy
  9. Body and Soul
  10. Ornithology
  11. Sentimental Journey
  12. 52nd Street Theme
  13. Groovin' High
  14. The Man I Love
  15. I Don't Stand a Ghost of a Chance
  16. Past Due (Relaxin' at Camarillo)
  17. Night and Day
  18. Moose the Mooche
  19. Cheers
The Complete Dean Benedettie Recordings of Charlie Parker

 チャーリーパーカーを聞きこんでくると、アドリブのフレーズの流れがある程度読めてくるような気になってきます。もちろんパーカーのアドリブがきちんと予測できるわけはないんですが、とくに50年代の演奏にはいると、「 このへんでお得意のこんなフレーズがでてきてもおかしくないな 」となんとなく感じた瞬間に、本当にそのフレーズがでてくるようなことがままあります。

 いわゆる「パーカーフレーズ」といわれるものが成熟しきった時期の演奏だと、聴いているうちに、耳がそのフレーズに慣れるんだとおもいます。もっともフレーズに慣れても、パーカーの演奏に対する価値が自分の中でこれっぽっちも下がらないのが、これまたパーカーのすごいところですし、慣れた耳にもたまに強烈にインパクトのあるフレーズをぶつけられるのが、パーカーの恐いところです。

 ところが、47年のディーンベネデッティ・レコーディングを聴いてみて下さい。一聴いつものパーカーフレーズかなとおもいながら聴いていると、ふとしたところで、わたしたちの耳を気持ち良く裏切っていくんです。「次はこうくるか、こうくるか?」と瞬間、瞬間でイメージしていくと、そのイメージをギリギリのところでヒョロリ、ヒョロリとかいくぐって、まさに「 汲めども尽きぬ 」といったフレーズが生み出されてきます。
 この時期のHi-De-Ho Clubの演奏ならなんでもいいんですが、「52nd Street Theme」などのパーカーの半生通じて演奏されるような曲も、いつものフレーズのつもりで聴いているうちに、あれよあれよと耳になじみのないアドリブフレーズが湧き出てくるので、ながいことこれらの曲にさらされた耳のあかの落ちるおもいになります。

 このモザイクの「The Complete Dean Benedettie Recordings of Charlie Parker」は’47年物と’48年物に別れていて、この2つを比べてどちらがベストか考えたりするんですが、2つとも別々の魅力があって、その時その時でコロコロかわります。最近は’48年物に分があったんですが、改めて聴き直してみて’47年物の評価がまたぐんと上がってしまいました。

 最後に、ぜひともみんなに聴いてほしいベネデッティですけど、やっぱりこれパーカーを初めて聴くような人には危険な音源かも。テーマを寸断した、パーカーのソロのみの乱雑な収録は、わたしにはとってもロマンをかんじるけど、一般人は錯乱することうけあいです。いや、高い買い物になるだけに老婆心ながらご忠告ですけど。
パーカー中毒症状がではじめたときにぜひ。
 

 

1999. 4.28 よういち 



 最近とみに気になってきて、しょっちゅう聴いているのが「Sentimental Journey」。
 30秒たらずのテーマメロディーのみの音源ですが、柳のように、青白い炎のように、しなやかに立ちのぼっていくサウンドが、悠然としたスローテンポのなかで響いているのを聴くと、おもわず繰り返し聴いてみたくなります。

 こんなにも艶を感じる、しなやかな高音のアルトサウンドはこの時期のパーカー独特のものかな、とまでおもってしまいますが。  

 

2000. 9.26 よういち 


Permission granted by Doris Parker under license
by CMG Worldwide Inc. USA

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