SP VIBRATIONS Vol.II CHARLIE PARKER part 2
【第2回:シリアスバード】 選曲リスト


2013年10月12日(土)と11月10日(日)の二回に渡り、東京・四谷三丁目「喫茶茶会記」で、三浦和三郎さんと一緒に”SPレコードでチャーリー・パーカーを聴く”イベントを行いました。そのときの選曲リストを、ひとことコメントとともに掲載します。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

第二回目は『シリアスバード』をテーマに、小編成物でパーカーの即興演奏の醍醐味を味わってもらいました。



≪パーカーは”でっかく”歌う≫
1) My Melancholy Baby (take 2) 06/06/50 Mer/Clef 11058(B)
 無造作で、ばかでっかい歌いっぷり。
2) I Remember You 07/30/53 Clef 89138(B)
 3時間のスタジオ予約で2時間15分の大遅刻をしたパーカー、ごきげんに歌う。
3) Confirmation (live) 09/29/47 Black Deuce part6
 堂々とした吹きっぷりで、主役のガレスピーを飲み込みそう。
4) Steeplechase (take 2) 09/24/48 Savoy 936(B)
 この時期のサヴォイ録音を聴くと、音色に自然石のような硬さ、ごつさ、ブルージーな苦さを感じる。

~スロー・ブルース
5) Parker's Mood (take 5) 09/18/48 Savoy 936(B)
 泥臭さの昇華されたモダンなブルース。達筆の筆運び。

≪パーカーは”過剰”に疾走する≫
6) Leap Frog (take 11) 06/06/50 Mer/Clef 11076(A)
 ガレスピーとの、銃撃戦のような丁々発止。
7) Constellation (take 5) 09/18/48 Savoy 939(A)
 リスクをとってアップテンポを敢行するのがチャーリー・パーカー。スリルたっぷり。
8) Klaunstance 12/21/47 Savoy 967(A)
 超アップテンポで音を詰め込むさまに、パーカー固有の性(さが)を感じる。
9) Bird Gets the Worm (take 3) 12/21/47 Savoy 952(A)
 パーカースタジオ録音史上最速。聴いていると金縛りになりそう。
10) Tiger Rag (radio broadcast) 09/20/47 Steiner Davis 49(A)
 モダン派ミュージシャンらがディキシーランドジャズの曲を吹く珍品。演奏は猛烈。

~バラード
11) Bird of Paredise (take C) 10/28/47 Dial 1032(A)
 「All the Things You are」の吹込みを3テイク重ねたら、パーカー独自の心洗われるバラード曲に。

≪波に乗るような”リラクシン”バード≫
12) Stupendous (take A) 02/26/47 Dial 1022(A)
 優雅さと勢いのあるアンサンブル。その勢いそのままにパーカーのソロが飛び出す。
13) Yardbird Suite (take 4) 03/28/46 Dial 1003(A)
 やさしく柔らかな吹きっぷりが心に染みる。
14) Ornithology (take 4) 03/28/46 Dial 1002(B)
 ソロの最初の一音で、演奏のうねりの波頭を捉えてぐいぐい進む、スピード感あふれる輝かしいソロ。

≪パーカーの”絶妙”なニュアンス≫
15) Now's the Time (take 4) 11/26/45 Savoy 916(B)
 パーカーの表現の解像度は他の奏者より格段に高い。このソロを口ずさんでみるとその精緻さがわかる。
16) Oh, Lady Be Good (live) 01/28/46 Arco 1226(pts.1&2)
 ガーシュウィンのスタンダード曲にブルースのような深い情感が加わる。
17) Ah-Leu-Cha (take 2) 09/18/48 Savoy 939(B)
 鮮やかでブルージー。フレーズにまとわりつく陰影の変化が絶妙。
18) Bluebird (take 3) 12/21/47 Savoy 961(B)
 息のながい倍テンポフレーズにぎっしりつまった細かく艶めかしい表現。

~バラード
19) How Deep is the Ocean? (take A) 12/17/47 Dial 1055(A)
 厳しさと甘美さのないまぜになったバラード。

≪脂の乗り切った”痛快”な即興≫
20) Dexterity (take B) 10/28/47 Dial 1032(B)
 ソロのサビの倍テンポフレーズが、3発の打ち上げ花火のよう。
21) Dewey Square (take A -a.t) 10/28/47 Dial 1056(B)
22) Dewey Square (take C -mst) 10/28/47 Dial 1019(A)
 起承転結にすぐれたパーカーのストーリーテラーっぷりを楽しむ。テイクCは、よりどっしりと腰をすえて語っている感。
23) Drifting on a Reed (take E) 12/17/47 Dial 1043(A)
 パーカー自身の絶好調さに加えて、最高の武器(新品のフランス・セルマー製サックス)を携えて、この日のセッションは神がかり的。
24) Crazeology (take C -c.t) 12/17/47 Dial 1034(B)
25) Crazeology (take D -mst) 12/17/47 Dial 1055(B)
 人間が吹いているとは思えない疾走感とエネルギー。テイクDのソロは、より型破り。

~バラード
26) Embraceable You (live) 09/18/49 Mer/Clef 11063(Vol.13)
 チャーミングな音色でロマンあふれるソロ。

≪パーカーは”異次元”の住人≫
27) Quasimado (take B) 12/17/47 Dial 1015(B)
 さっきのエンブレイサブル・ユーのコード進行に基づくも、執拗な倍テンポフレーズでまったく違ったイメージに。エンブレイサブル・ユーがかわいい絵本なら、カジマドは分厚い小説。
28) Tiny's Tempo (take 3) 09/15/44 Savoy 915(B)
 パーカーは共演者の2倍、4倍、いや、ひょっとしたら8倍くらいの時間の中を生きているのでは、と感じる。
29) Warming Up a Riff 11/26/45 Savoy 945(A)
 この演奏を聴いていると時間感覚がおかしくなる。パーカーのソロが永遠のようにも、刹那のようにも感じる。



2013.11.16 よういち



Permission granted by Doris Parker under license
by CMG Worldwide Inc. USA


ホームへ  BIRD'S NEST メニューへ   Back | Next