BIRD Chasers
(過去ログ 53)
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08/08/30(土)13:19:42 よういち
No.1205: Re: 新ジャズ日記から

netjazzさん

やっちまいましたね(笑)

パーカーを聴くために「理論」や「知識」は必要かというテーマで白熱していましたが、
わたしの印象としては、その深層に隠れたテーマがあるように思いました。

まず、おそらくワタシもnetjazzさんも、絶対的、普遍的なものが存在していて、
パーカーの音楽はそれを表現していると思っているフシがあり
(netjazzさんのいう「理想、理念」がそれに当たるのでは?)、
そして、その「絶対的なもの」の所在への考え方しだいで
「理論」の取り扱かわれかたにも違いが出るように思います。

肉体の外側(自然科学、理性)にあると思っているか、
肉体の内側(生の欲望、エロス?)にあると思っているか、
大きく2つの考えに分けられるように私は思います。

で、諸発言からの推測なので外れていたら申し訳ないのですが、
netjazzさんは前者の立場を取っているのではないかと思ったのですがどうでしょう?
だとしたら、その「絶対的なもの」を検証するには自然科学に物理法則を用いるように
「理論」や「知識」を使う必要が生じうるのだと。
そうなると「理論的に高度=音楽の内容も高度」という論調とも違っていて、
いーぐるでの議論のチグハグさの原因も、うっすら浮かんでくるように思います。

で、私はというと今のところ後者の立場ですね。
なので、パーカーに魅了されている自分自身に問いかけるところから出発して、
不完全ながらも言葉を使って、世に晒して反応をみるしかないわけです。

どちらの立場が妥当なのか、私はまだ決め付けられません
(それ以前に「絶対的なもの」が存在するのか、というテーマもあります)。
非常に興味深いですね。

08/08/29(金)20:52:10 netjazz <http://d.hatena.ne.jp/eaglegoto/>
No.1204: 新ジャズ日記から

またしても派手にやらかして戻ってきまりました。
昔に戻ったようで懐かしいですが、
そろそろ書くのはこれくらいにしないと(汗)。

今回は誰もがよういちさんやSinさんのような
耳を持っていれば必要ない議論なのですが、
そうでない方は、少し勉強していただかなければ、
ということでした(笑)。

それに難しい理論書は敬遠するでしょうけど、
たとえば、オーウェンやウォイディックの本など
わりやすく解説してあれば普通は知りたいですよね。
・・・といっても評論家できる人はいないか(汗)。
海外用のネタを思いついたので、
そう遠くなく録画してみようと思います。

08/08/18(月)22:32:56 よういち
No.1203: Re: パーカーの継承

netjazzさん、お疲れさまでした。

「後継者」「継承」とは何か、難しいテーマですね。
ジャズが一人ひとりの個性の音楽なら、個性を継承するという言い方は確かに違和を感じます。
ただ、その個性のかもし出す表現のベクトルが同じで、前人よりその表現を深化しすることができるのなら、
それは成果であり、継承になるかもしれませんね。
ところがこれがことパーカーになると、彼一人で深化しようの無いところまで
ひとまず行き着いてしまっているように見えて、パーカーのベクトルのままでパーカーより
一歩先に進めることの出来る「後継者」がいるのかと問われるとやっぱり難しいですね・・・。

08/08/18(月)09:15:19 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1202: パーカーの継承

いーぐるnote第二弾も終わって戻ってまいりました。ご覧いただいたとおり、今回はちょっと失敗で肝心な内容に辿り着けず、みなさまのご期待に添えなくてすみませんでした(汗)。

ジャズには「後継者」や「継承」などない、という一部の「井の中の蛙」的思い込み(笑)に終わったように見えますが、最後に貼り付けた辻バードさんのお言葉まで合わせれば何となくは伝わったでしょうか。私なりの総括をブログに書きましたのでご覧いただければと思います。

08/08/10(日)10:03:18 Sin
No.1201: Re11:パーカーの生まれ変わり

聴く行為でいうと、私は覚醒し、感覚的には冴え渡ってくる方なんです。
ところが、「ジャージーな演奏」とか、「酒を飲むときにいい」とか、
雰囲気的なもので好きな人は、クルマを運転している時に掛けたりして
も「眠くなってくる」そうです。(笑)

これでは、聴き手間に大きな溝があっても仕方ないです。

08/08/10(日)08:55:52 よういち
No.1200: Re10:パーカーの生まれ変わり

Sinさん

> こうしたジャズのフィーリングや歴史観は、実は歪んでいるし、本来的
> ではありませんが、いつの間にかすっかり一般的(支配的)な風潮になっ
> てしまっているということですよね。
パーカーを無視して、ジャズを聴く風潮は確かに歪んでますよね。
なによりパーカー以外のジャズも十分に味わえない可能性が強いのが、
私にはもったいないな、と思います。
昨今少しは見直されてきていると信じたいですが。

08/08/09(土)09:05:37 Sin
No.1199: Re9:パーカーの生まれ変わり

こんにちは。

結局、もしサックス吹きの神がいたとすれば、パーカーのように吹いた
であろうとしか思えないものですから、パーカーが一番だと思っている
わけです。これは私たちパーカー気狂いの気持ちですよね。

ところが、例は悪いですが、チック・コリアとか(いいピアニストでは
ありますよ!)からジャズに入り、ぜんぜんパーカーなんか分からない
ような自称ジャズ・ファンは、パーカーのことを「ああ、あの超ワン・
パターンなやつね」としか、言ってくれないものです。

こうしたジャズのフィーリングや歴史観は、実は歪んでいるし、本来的
ではありませんが、いつの間にかすっかり一般的(支配的)な風潮になっ
てしまっているということですよね。

08/08/07(木)22:29:35 よういち
No.1198: Re8:パーカーの生まれ変わり

netjazzさん

> 自分の中でパーカー以外の価値が下がって、本物を
> 感じなくなる、他の音楽をあまり聴かなくなるという、
>“パーカーに上書きされた”パーカー教状態を恐れて
> いるわけですね(笑)。
逆にパーカーを吸収することで、パーカー以外の音楽を聴く耳のレンジが
広がるのではないかな、と私は思います。恐れなくて良いのに。
ただ同時にパーカーの優位性も身にしみるようになるのですが(笑)

“上書きされる”というのは進化のありようでもあるようですね。
その過程でパーカーの生まれ変わりがでてくるのならば、
徹底的に両者戦って欲しいです(笑)

08/08/05(火)18:26:07 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1197: Re7:パーカーの生まれ変わり

Re7:パーカーの生まれ変わり

> とりわけパーカーの音楽は、数ある芸術に比べて、
> 現実世界と「理念」との隔たりが薄く、ほとんど透けて
> みえそうな気がしてならないのです。
この意味はよくわかります。言葉での表現は難しいですが、
私自身、古いとか、物真似だとか、外野がうるさいのを承知で、
あえてやっているわけですからね。

もちろん外野といっても、実はみんな恐れているだけです。
マイルスやコルトレーンを勉強したって誰も何もいいません。
自分の中でパーカー以外の価値が下がって、本物を
感じなくなる、他の音楽をあまり聴かなくなるという、
“パーカーに上書きされた”パーカー教状態を恐れて
いるわけですね(笑)。

> ビバップの魂、しつこそうです(笑)
救世主はパーカースタイルではない方法で、バップの闘いを
挑んでくるでしょう。かつてコニッツなどはパーカーに
上書きされましたが、もっと強力なのが登場するかもしれません。
エージェント側もしっかり準備しなくては(笑)。

08/08/04(月)21:55:43 よういち
No.1196: Re6:パーカーの生まれ変わり

netjazzさん

なるほど、他者と共有できるような絶対的な存在、netjazzさんいうところの
「理念」の投影を体感できるのが芸術ということですね。
確かにそういう体感の瞬間が、自分が生きていると感じる瞬間であって、
たぶん生きている実感を得たいために芸術を求めるのでしょう。

ただ、私にとってとりわけパーカーの音楽は、数ある芸術に比べて、
現実世界と「理念」との隔たりが薄く、ほとんど透けてみえそうな気がしてならないのです。
とはいえ、これも私自分の視野がまだまだ狭いだけなのかもしれません。
パーカー以外の芸術をたくさん体験しないと…。

> 恋愛の道具、リラックスや読書など何かのBGMとして。
> つまり、“目的”が違うわけです。
そうですね。そういう人たちには伝えることはできないし、必要もないですし、
鬱陶しがられるだけですね(笑)

> まあ、ここに来る人は既に何かしら体感した人
> なのでしょうけど。
たしかに、人から教えられるまでも無く自分で仮説を立てているかもしれません。
教えようなんて傲慢な話であって、共有して吟味しあおうという
姿勢が必要なのでしょう。

> YouTubeの映像は昨年の段階で、ちょっとした成果を
> 入れていますが、それが少数にしろ伝わったようです。
> また、少ししたら今までに聴けなかった成果を入れた
> ものをアップしようと思います。
演奏で伝えることのできる立場のnetjazzさんがうらやましいです(大変でしょうが)。
今後も期待しています。

> しかし、変容したビバップの魂が、コピーする方法を覚えてじわじわ
> 増殖している、とこんなところでしょうか(笑)。
ビバップの魂、しつこそうです(笑)

08/08/03(日)21:13:08 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1195: Re5:パーカーの生まれ変わり

>他者と共有できるものはある
言葉の定義ですが、私はこれを理想・理念といっていました。
世界中で共有できる芸術というのは、何かしらそういう
ものを持っていますね。

>netjazzさんもパーカーの音楽が絶対的なものと感じている
今まで、私はわかりやすくこんな発言をしていましたが、
厳密にいえば、理念を投影する手段はいろいろあり、
パーカーのビバップの手法もその一つということに
なると思っています。

絶対的なものの存在を直接見ることはできないにせよ、
それを投影させる手段が“芸術”というような解釈です。
美術でも映像でも“道”というような接し方をしている
ものは、それを通して何か確実なものを体感したい、
という願望があるのではないでしょうか。

>わからない方たちは、聴きかたが自分とまったく違うのですから
>その人がどういう聴きかたをしているのかを探り出して
>自分の聴きかたへ誘導すれば良いのかな
世間の音楽は芸術としてより、別の手段として作られ、
聴かれているケースの方が圧倒的に多いですね。
恋愛の道具、リラックスや読書など何かのBGMとして。
つまり、“目的”が違うわけです。

そういう人たちには、“パーカーのビバップはこう
いうものなので、みなさまの目的では難しいです”
というアドバイスができるだけです。
無理やり理解させるのは宗教の勧誘のようなもので、
ジャズ喫茶などでは大変難しい(笑)。

ただ、目覚めたがっている人には、それなりの手引
きは用意する必要がありますね。それで議論がここ
に移ってきたことは必然だったわけです。
まあ、ここに来る人は既に何かしら体感した人
なのでしょうけど。

>netjazzさんはそんなまどろっこしい、言葉を使った誘導ではなく、
>サックスを使って真の表現それ自体を研鑽されているのでしょうね。
YouTubeの映像は昨年の段階で、ちょっとした成果を
入れていますが、それが少数にしろ伝わったようです。
また、少ししたら今までに聴けなかった成果を入れた
ものをアップしようと思います。

>現在はまだ両雄並び立っていない、バランスの欠けた状況
>というところでしょうか。
パーカーとマイルスの戦いで、マイスルに一部がコピーされ、
パーカーは完璧に破壊されたように見えた。しかし、変容
したビバップの魂が、コピーする方法を覚えてじわじわ
増殖している、とこんなところでしょうか(笑)。

08/08/03(日)17:49:17 よういち
No.1194: Re4:パーカーの生まれ変わり

netjazzさん

人間に真の認識はできない、というのが現代の常識のようで、
非常に困難とはおもいますが、他者と共有できるものはあると信じたいです。

>「音楽は非常に正確で、可能な限りクリーンでなければいけない」
この言葉の解釈にしても多様ですよね。
私もnetjazzさんもパーカーの音楽が絶対的なものと感じているとは思うのですが、
その解釈には違いがありそうな気がします。
それは当然なことで、それらを出し合って吟味することで
より妥当な解釈に近づいていくのでしょう。

> 平易な言葉ということからいえば、私は「わからない」と
> いう批判は全く想定外で驚いたのですが、音楽がわからない
> となれば、それも仕方ないのかなあ、と思ったわけです。
わからない方たちは、聴きかたが自分とまったく違うのですから
その人がどういう聴きかたをしているのかを探り出して
自分の聴きかたへ誘導すれば良いのかなと思います。
そこに難解な用語は必要ないと思うのですが、やっぱりうまくいかない…。

netjazzさんはそんなまどろっこしい、言葉を使った誘導ではなく、
サックスを使って真の表現それ自体を研鑽されているのでしょうね。

> ご覧になったかもしれませんが、こんなページがありますね。

ご案内ありがとうございます。最後には対極にあるもの同士の対決が待っている…。
でも現在はまだ両雄並び立っていない、バランスの欠けた状況というところでしょうか。

08/08/03(日)12:29:43 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1193: Re3:パーカーの生まれ変わり

Re3:パーカーの生まれ変わり

こんにちは。それでは遠慮なく、ということで(笑)。

>人類にそんな先天的なものがあるのかという別の議論の素になりそうですが。
それがどこにあるのかというか、あるいはどうやって認識
するのか、という議論は哲学の歴史ですね。
このお二人の指す方向のようなものでしょう。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/98/Sanzio_01_Plato_Aristotle.jpg

この場所の問題はミュージシャンの方向性として案外、
重要なところですね。マイルスは若者に、コルトレーンは
神に向かった、というようなことで。

私たちの課題はパーカーの音楽を伝えるということですが、
それではパーカーはどこに向かったのか、ということに
なるわけです。あの方の生活はああですが(笑)、
言葉では案外逆のことをいっていますね。

「音楽は非常に正確で、可能な限りクリーンでなければいけない」

このあたりをどう解釈するか、ということでしょう。
出来上がった音楽も決して一般聴衆向けではないわけです。
ストリングスなども当初の目的はわかりませんが、
パーカーの演奏は決してスイートではないですからね。

>噛み砕いて説明できない限り、独善的と言われるのは否定できないのでしょう。
>そんな力を身に付けたいなあ。
これはどうでしょう。言葉はより厳密にわかりやすく
しようとすればするほど、専門用語が増えて難解になってしまう、
ということがいえることではないでしょうか。

平易な言葉ということからいえば、私は「わからない」と
いう批判は全く想定外で驚いたのですが、音楽がわからない
となれば、それも仕方ないのかなあ、と思ったわけです。

わかりやすいものがいいのなら、ポップスやスイートで
スムースなジャズでも聴いていれば、ともいえなくない
ですが、我々も可能な限り努力しなくていけない、とい
うことはありますね。それでわかってジャズ喫茶の営業が
成り立つかはわかりませんけど(笑)。

>ストーリーをほとんど理解していないのでもう少し説明してもらえると幸いです。
ご覧になったかもしれませんが、こんなページがありますね。

http://www.biwa.ne.jp/~kentbox/movie/matlix.htm

私も正しく理解しているかはわかりませんが、あの
映画は、全てプログラムでの製作も可能な時代のクリエ
ーターが考えた世界観を提示しようとしたのだと思います。
パーカーとマイルスのジャズにおける対立も似たような
プログラムの一部ではないかと考えたわけです。

08/08/03(日)08:00:09 よういち
No.1192: Re2.5:パーカーの生まれ変わり

> 私のサイトにもいーぐる関連のコンテンツとブログの
> スペースを設けましたので、よういちさんにご迷惑なように
> 感じるようでしたら、あちらにお願いします(汗)。
掲示板だとすぐ流れてしまうので、netjazzさんの貴重な発言を残されるのは意義がありますね。
こちらへ書き込みされるのは全然気にしないでください。
私のつたない意見にお付き合いしてもらって感謝しています。

08/08/03(日)07:42:14 よういち
No.1191: Re2:パーカーの生まれ変わり

netjazzさん

> 自己を滅して理想、理念に向かうということですね。
自己を滅して、という点ではその通りです。
ただ向かう先は、精神的高みに上るような理想、理念というよりは、
むしろ人類の根源的な動物的欲求のようなものに近いと考えています。
ネガティプに捉えられがちなものですが、大切にしたいです。
人類にそんな先天的なものがあるのかという別の議論の素になりそうですが。

> ただ、パーカー以後のモダンジャズは遠心的な動きだとしても、
> パーカーの業績を利用している、というパラドックスがありますね。
そうですね。パーカーが言葉を完成させ、皆がその言葉を使って成果をあげたのだと思います。
しかしながらその成果、聴き所は、そのプレイヤーのパーカー的な所ではなく(そこはパーカーを聴けば済むので)、
パーカーからどのような距離を生み出せたかという点であり、
彼からより遠くへ離れようとモードやフリーへ突入するプレイヤーがいたり、
彼に同化しようとして果たせなかったその齟齬が「味」へと転化するプレイヤーがいたり、
パーカーが強力な座標軸になっていた歴史だったのではないかと。
そういう意味でパーカーから逃れられない歴史だったのだと思います。

> 求心→遠心、遠心→求心とそれぞれベクトルを持って変容した
> アノマリーの対決(マトリックス風)、といった予測をしています。
ごめんなさい、ストーリーをほとんど理解していないのでもう少し説明してもらえると幸いです。
マトリックスの世界のリロード(再起動)を待つようなものでしょうか?

> 私はあれは言葉の問題ではなかった、と思っています。
> あそこの理解の限界を超えていただけなのでしょう(笑)。
いや~、これは伝えられないほうがやっぱり悪いんです(笑)
皆それぞれに考えがありますから、そこにも踏み込みながら
噛み砕いて説明できない限り、独善的と言われるのは否定できないのでしょう。
そんな力を身に付けたいなあ。

08/07/31(木)18:11:41 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1190: Re:パーカーの生まれ変わり

こんばんは。

私のサイトにもいーぐる関連のコンテンツとブログの
スペースを設けましたので、よういちさんにご迷惑なように
感じるようでしたら、あちらにお願いします(汗)。

>そのココロは、
>自意識を消してクリーンになろうとした求心的な運動
自己を滅して理想、理念に向かうということですね。

>主体的で新しい遠心的な表現をめざした
ヒューマニズム、民族、ポピュラーといった、より人間の感情や
個を大切にする、といった上とは逆の方向性でしょうか。
ある意味、支配からの開放といった側面もあるので、
単純にネガティブなことでだけではないのは確かです。

ただ、パーカー以後のモダンジャズは遠心的な動きだとしても、
パーカーの業績を利用している、というパラドックスがありますね。
スティットやマクリーンはもちろん、ロリンズやコルトレーンも、
若い頃にパーカーから吸収しなければあれだけの成果はなかったでしょう。
植民地から開放されても、持ち込まれた文明は
後戻りできないといったところでしょうか。

>もしそのようなプレイヤーが出るとしたら、求心と遠心のベクトルを俯瞰して
>もう一つ軸を加えたような高次元の表現になるのではと、
私が決戦と書いたのは、よういちさんの言葉を借りると
求心→遠心、遠心→求心とそれぞれベクトルを持って変容した
アノマリーの対決(マトリックス風)、といった予測をしています。

>(いったいどんな表現だ…)。
いーぐるの打ち上げで、よういちさんが周囲から“詩的な表現”とか
“わかりづらい”などといわれていたのを聞いていましたが、
私はあれは言葉の問題ではなかった、と思っています。
あそこの理解の限界を超えていただけなのでしょう(笑)。

08/07/30(水)22:59:31 よういち
No.1189: パーカーの生まれ変わり

netjazzさん

「ビバップとパーカーの音楽はひょっとしたらモダンジャズと言えないのでは」というそのココロは、
主体的で新しい遠心的な表現をめざしたジャズがモダンジャズとしたら(極端に狭義的にも広義的にも見えますが)、
自意識を消してクリーンになろうとした求心的な運動がビバップなのではと私には思われ、
モダンジャズとはちょっと違うと思うようになった、ということです。
どちらかというと始めるための舞台を作ったような。

モダンジャズの歴史をわたしはポジティブに捉えたいと思っていますが、
「食い潰していった」というnetjazzさんの認識もわかります。
パーカー以上の強度の表現が出ないうちに拡散しつつあるように私にも見えます。

*

Sinさん

なるほど、最後の決戦とは、パーカーの生まれ変わりを待ち望む気持ち、ですか。

パーカーと同じベクトルの表現でパーカーを超えることはできないでしょうから、
もしそのようなプレイヤーが出るとしたら、求心と遠心のベクトルを俯瞰して
もう一つ軸を加えたような高次元の表現になるのではと、そんな妄想をしてしまいますね
(いったいどんな表現だ…)。

08/07/29(火)22:06:32 Sin
No.1188: Re3: 議論

これは相倉久人氏が、『モダン・ジャズ鑑賞』の中で、いろいろ引用し
ながらも、述べております。
(引用、一部省略)

”<ファンクへの道>
パーカーがプレイ一本に専念したとき、ジャズメンの大多数がインプロ
ヴィゼーションの質的な向上に絶望したことはたしかである。いくらやっ
たってバードにはかなわないじゃないか、という気持ちは、誰の心にも
あったに違いない。そこで彼らが目指したのは、質的な向上ではなく、
質的な変化だった。”


この変化の中には、マイルス、ファンク、白人ジャズ、前衛ジャズ、と
それこそ様ざまな意匠が含まれることになると結果的には思います。

最後の決戦とは、パーカーの生まれ変わり(のような人物)を待ち望ん
でいるような気持ちでしょうか。

なんだか、キリストを待っている時代の気持ちみたいですが(笑)。

パーカーがビバップと別の時代に生まれていたとしても、やはり偉大な
音楽を演奏したであろうと、ある評論家が述べていましたが、少なくと
もそう思わせるほどの圧倒的な説得力をパーカーのイディオムには感じ
ます。

それが、今の音楽家にとっての目標になっているといえるのでは?

08/07/29(火)18:23:32 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1187: Re2: 議論

こんばんは。

>ビバップとパーカーの音楽はひょっとしたらモダンジャズと言えないのでは、
確かに最近、こんな状況になってますね。
ただ、できれば現状を追認するのではなく、モダンジャズの歴史は
退化の歴史、としたいのです(ここだから書きますが)。

パーカーの創造したものを、逃避、簡略化、商品化、回帰、破壊など
を行いながら食い潰してきた、というような正しい認識に・・・
言葉が悪いのでもう少しスマートな表現がいいのですが、
その後の音楽はどれかに分類できますからね。

マックス・ローチの言葉を借りて、
「バードは太陽のような存在だった」なんていう方が
適切かもしれません(笑)。

>「まだ決戦が残っています」とは
これは希望的な予測ですが、このような時代でも
ジャズは個人技なので一人でも現れれば違ってきますからね。

08/07/27(日)23:44:55 よういち
No.1186: Re: 議論

netjazzさん

>全然、見当違いではありません。そのとおりだと思います。
そうおっしゃっていただけるとホッとします。
勉強不足の身で語るのはホントこわいのですが。

>M/D論に興味と意見があっての参戦だったので、
netjazzさんのおっしゃった、「マイルスはビバップ的な追求をやめたときから
ずっとカウンターだと思っています」という発言に共感しています。
パーカーのカウンターであり続けたからこそ菊地氏のM/D講演に期待されていたのだと思いますが、
このジャズの”片側だけ”が極端に膨張を続けた歴史。
”片側”だけに注目されて21世紀ジャズが議論されていると、物足りなさを感じてしまいます。
と、こんなことをワタシのサイトに書いても実りが無いのですが…。

> 巷では、ハードバップがモダンジャズだ、なんて平気でいって
> しまう人が本が売れているそうではありませんか。
わたしはハードバップはモダンジャズのひとつと思っていますが、
ビバップとパーカーの音楽はひょっとしたらモダンジャズと言えないのでは、と、
最近思い始めてます。

ところでnetjazzさんの発言なかで、気になることがいろいろあるのですがひとつだけ、
ジャズを含めた文化は終わりに近づいているものの「まだ決戦が残っています」とは
何を示唆しているんでしょう?預言者めいていて気になります…。
(「マトリックス」はほとんど内容を理解せずにボケーと画面を楽しんでいました)

*

Sinさん、こんにちは。

> ポストモダンジャズ云々の論点には、ペダンチックな議論を感じました。
何のための議論か、ということでしょうね。
いま行われていることは、現代ジャズのもやもやを整理しようという狙いがあるとおもうので
有意義なことだと私は思います、が、やっぱり上で記述したように
パーカーが持ち出されない状況は座りが悪いですね。

08/07/27(日)20:47:21 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1185: Re:お久しぶりです

こんばんは。ご無沙汰してます。

>端的な「BIRD LIVES」の主張が私にも一番信じられるものでした。
このサイトでは常識なんですけど、日本の外の世界では
みんな気づいていないですね。

巷では、ハードバップがモダンジャズだ、なんて平気でいって
しまう人が本が売れているそうではありませんか。
ああいった現状を知っていただきたくてここにも書き込みました。

>バードを超えるムーヴメントが現れているようには
そうですね。ただ誰も演奏しなくなって、バードの音源だけだと
ますます先細りになりそうなので、若手プレーヤーには頑張って
もらわないと、というのはありますね。

08/07/27(日)19:34:40 Sin
No.1184: お久しぶりです

こんばんわ、お久しぶりです!

私も、こちらの掲示板で知り、いーぐるの掲示板を拝見してみました。
なかなか面白い部分もあったです。

正直なところ、ポストモダンジャズ云々の論点には、ペダンチックな議論を感じました。一部の方は、お分かりになっていたようでした。

そうした意味を含めて申すならば、これまでのジャズ音楽の歴史では、バードを超えるムーヴメントが現れているようには私には到底思えませんので、netjazzさんの、端的な「BIRD LIVES」の主張が私にも一番信じられるものでした。
って、このCHARLIE PARKERのファン・ページで内向けに細々主張していても仕方ないですけどね? でも通じない人には通じないですもんね。

私は相も変わらず、パーカーばっかりですよ。
(他も聴くことはありますが。。。)

08/07/25(金)00:40:52 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1183: RE2: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

こんばんは。

>見当違い覚悟でひとつ言うとしたら、モダンあってこそ
全然、見当違いではありません。そのとおりだと思います。
ただ、世間ではそれが常識ではないので、
じわじわと落ち着いて行かないと、ということですね。

>多少浮き足気味だった議論の流れが
崩壊しそうだったのを何とか繋ぎ止めたというところでしょう。
私はM/D論に興味と意見があっての参戦だったので、
今は何をやっているのでだろう?という感じですが(笑)。

辻バードさんがご存命だったら哲学タッグで、ダーッ、
と突っ走ったと思うのですが、今は一人なので心ある人の問いかけで、
何とか継続できています。

08/07/24(木)00:02:14 よういち
No.1182: RE: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

netjazzさん、こんにちは。
「Ornithology」がVol.18に入っていたことは気がつきませんでした!

netjazzさんが、いーぐるの掲示板に飛び入りされた時はびっくりしました。
議論自体もまだ前提を整理している段階のように見えますし
ポストモダンの議論に一石を投じられるような見識はないので
私はだまって興味深く拝見しているばかりです。

見当違い覚悟でひとつ言うとしたら、モダンあってこそのポストモダンでは?ということでしょうか。
パーカー(ビバップ)的官能とモダン的エネルギーがまずは目の前に陳列されていないと、
ポストモダン状況下のジャズもあったものでなく、濃い表現にも結びつかない気がします。
パーカーとモダンジャズを聴くことに特化しちゃっている耳の悲しさかもしれませんが
これらの要素の希薄な演奏は、まだワタシには、ファ~と気持ちよくはなってもビリビリとはこないようです。

netjazzさんがあの掲示板でビバップ復権を持ち出したことで
多少浮き足気味だった議論の流れが締まったものになってきたように思います。

08/07/22(火)20:00:00 netjazz <http://www.ne.jp/asahi/jazz/jazz/>
No.1181: RE: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

私のところも今日届きました。
詳細については私のブログに書きましたので、
よろしければご参照ください。

それにしても何で私がいーぐるの掲示板に(汗)。
理解しがたい・・・でも、面白いでしょう(笑)。

08/07/20(日)19:28:10 よういち
No.1180: RE: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

今日私の手元に届きました!
聴いてわかったのですが、これは1947年と紹介されていた
BIRD'S EYES Vol.17でワシントンDC音源と同じ演奏なのですね。
ですが、ソースが違うのでしょう、Uptownが発売するだけあって
クリアになった音質。曲数も、収録時間も増えています。

マンハッタンのせわしさとはまた違った雰囲気の、
ワシントンの地元ミュージシャンとバディリッチとのジャムセッション的ライブです。
パーカーのアルトの音もマイルド。暑さ続きの最近の夜、じっくり聴きたいですね!

08/07/15(火)08:42:13 TORIYA <http://www.birdslegacy.com>
No.1179: RE: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

昨日到着しました。一緒に発送されているはずのGillespie Big Band
は未着です。Uptownらしい、素晴らしい52ページもの解説書付きです。
1948年5月23日ワシントンD.C.のミュージック・ホールの演奏です。

08/07/14(月)22:12:33 よういち
No.1178: RE: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

TORIYAさん、こんにちは!
本当に発売されましたか!Worlds Recordsからの到着を楽しみにします。

澤田さんのライブ、今回ちょっと行けそうにありませんが楽しんでください!

08/07/12(土)21:40:54 TORIYA <http://www.birdslegacy.com>
No.1177: UPTOWN/WASHINGTON D.C. 1948

よういちさん、皆さん、こんばんは。
とうとう発売されましたね!!。到着が待ち遠しいです。
ところで、澤田一範さんのウイズ・ストリングスが、新
宿厚生年金会館の近くに転居したサムディで7月31日
(木)に再演されます。
詳しくは下記で。

  http://someday.net/index2.html
  http://www.k3.dion.ne.jp/~kz-s/html/schedule.html

みなさん、行かれますか?。私は仕事が入っている日です
が、休んで行きたいと思っております。

08/07/09(水)23:04:10 よういち
No.1176: Re: ハバード

patheさん

こんにちは!
ハバードの吹奏はやっぱり良くなかったですが、
音にならずとも頭の中では吹きたいものが駆け巡っているかのような
ラッパを吹いている間の意欲的で鋭い眼光、
他ミュージシャンをリードする親分肌、
そういった佇まいが興味深かったです。

ガレスピーは残念ながら亡くなっているので
スライド・ハンプトン指揮のトリビュートビッグバンドでした。

08/07/09(水)00:06:20 pathe
No.1175: No-Title

よういちさん

ライブに行って来られたんですね。
ハバードの調子は如何でしたか?5年ほど前に来日したときには大分調子が悪そうでした。
本人が「これからも練習してうまくなりたい」と話していたのが印象的でした。
ハバードがライブでの演奏を楽しめているといいなあ、と思っています。
ディジーも元気でしたか?

08/07/06(日)00:54:48 よういち
No.1174: ニューヨークへ行ってました

先月末からニューヨークへ行ってきましたので、立ち寄ったライブの概略を記しておきます。
今回はジャズ・レジェンドを訪ねる旅、みたいな感じになりました。

Jun 28. 2008 20:30 at "Iridium"
Freddie Hubbard and Friends 70th Birthday Celebration
(Freddie Hubbard :flh, James Spaulding :as, Curtis Fuller :tb,
Louis Hayes :ds, Javon Jackson :ts, David Weiss :tp,
Larry Willis :p, Santi Debriano :b)

Jun 28. 2008 23:00 at "Village Vanguard"
Lou Donardson Quartet
(Lou Donardson :as, Michael Weiss :p, David Wong :b,
Kenny Washington :ds +飛び入りアルトサックス奏者2名)

Jun 29. 2008 19:30 at "JAZZ STANDARD"
George Coleman Quintet
(George Coleman :ts, Eric Alexander :ts, Harold Mabern :p,
John Webber :b, George Coleman, Jr :ds)

Jun 29. 2008 22:30 at "Blue Note"
Dizzy Gillespie All-Star Big Band
(Slide Hampton :cond, Jimmy Heath :ts, James Moody :ts,
Antonio Hart :as, Mark Gross :as, Roy Hargrove :tp,
Claudio Roditi :tp, Greg Gisbert :tp, Steve davis :tb,
Cyrus Chesnut :p, John Lee :b, Lewis Nash :ds,
Roberta Gambarini :voc ...etc)

Jun 30. 2008 19:30 & 21:00 at "JAZZ STANDARD"
Emilio Solla's NY Tango Jazz Project
(Emilio Solla :p, Chris Cheek :ss/ts/bs,
Victor Prieto :accordion, Pablo Aslan :b, Franco Pinna :ds)

Jul 1. 2008 23:30 at "55bar"
Mike Stern Trio
(Mike Stern :gt, Tom Kennedy :b, Kim Thompson :ds)

08/06/20(金)23:04:56 よういち
No.1173: そういえばコニッツが久しぶりに来日しますね

>「ジャズの土台はフィーリング(感覚)でありエモーション(情動)で> はない」ですか!!! うーむ。

「エモーションはエゴから来るもので、フィーリングはイドから来るもの」だそうです。
個人的に共感はできますが、ちょっと極端なところもありますね。

> それにしても、コニッツがジャズクラブに出演するとドリンクが売れない
> のではないでしょうか?

そういえばコニッツが久しぶりに来日して
ビルボードライブ東京で7月14日にライブをやるそうですよ。
'40-50年代当時とは様子は違うでしょうが、行ってみようかしらん。

08/06/19(木)12:37:54 kar
No.1172: トリスターノ派

よういちさん 有難う御座います。 貴殿の解説を読んでから、再度「Subconscious-Lee」を聴いてみたのですが、印象は変わりませんでした。
アレクサンドル・グラズノフ(1865-1936 ロシア)の作品に
「アルト・サクソフォーンと弦楽オーケストラのための協奏曲 」があります。 少し似た感じですが、グラズノフの方が温かみがある。
「ジャズの土台はフィーリング(感覚)でありエモーション(情動)ではない」ですか!!! うーむ。
パーカーと同時代人で、且つ彼に匹敵するような音楽性を持つアルトのプレーヤを探すのは諦めました。
それにしても、コニッツがジャズクラブに出演するとドリンクが売れない
のではないでしょうか? 

08/06/17(火)23:13:02 よういち
No.1171: トリスターノ派

karさん、こんにちは!

リーコニッツのみならず、その師匠レニートリスターノが従えた一派と
パーカーをはじめとした黒人ビ・バッパーとの交流はわりと活発だったようですよ。

同じトリスターノ派のテナーサックス奏者であるウォーンマーシュの評伝
『An Unsung Cat』をこの間まで読んでいたのですが、
そのなかには1951年にトリスターノがマンハッタンの32番街にスタジオを作り、
コニッツ、マーシュ、テッドブラウンらトリスターノ一派と、パーカー、ミンガス、
ローチ、ヘインズ達が頻繁に混じってセッションをしていたことが記してあります。
(パーカーは若きマーシュの演奏を見てトリスターノに
「この坊やを見守ってやれ。見所がある」と言ったそうです)

とはいえトリスターノ一派はパーカーをはじめとした黒人ジャズの偉人の演奏には
最大限の敬意を払いながらも、白人ジャズメンとしての自分達固有の演奏をめざしていたようです。
またトリスターノは「ジャズの土台はフィーリング(感覚)でありエモーション(情動)ではない」
と言って激しさを露わにする演奏を生徒にさせなかったそうなので
黒人ビ・バッパーとは一線を画した、肌触りの冷たい演奏になったのでしょうね。

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