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映画「BIRD」のサウンドトラック。パーカーの演奏ソースとそれにあわせて録音した現代のプレイヤーのソースなどをかけあわせた、高度な編集技術で有名なものです。アカデミー音響賞を受賞したそうですね。 結論からいうと、パーカーの音楽として聴くには問題がありますが、これはこれでおもしろい実験作だとわたしはおもいます。
一聴して気づくことは、パーカーが吹いている昔の録音ソースと現在のプレイヤーの録音ソースの肌合いがまったく違うことです。 モダンジャズが暗中模索の状態で、現在進行形で生み出される、その時代とともに足並みそろえて歩んでいった、ビビッドなものだったころの録音。モダンジャズが4ビート・ジャズといわれるようなひとつのスタイルに収束してしまい、既存のものの反省の視点から物事を始めざるをえなくなった現代のプレイヤーの録音。そして音楽の共感とは無関係にちりばめられた観客の歓声の録音ソース。この3つが交じり合うと、おたがいの空気の温度差がモザイクのようにからみあっているような違和感を覚えて、一種のパロディーのようにも感じられてしまいます。 なんだかこうして書いていると、ケナしているようにみえますが、こういったことが感じ取れて味わえてしまうこと自体、それだけでこのサウンドトラックでの試みには意義があるとおもいます。それにこんなアホで大胆な企画、結構笑えて好きです。相当な技術と情熱がなければ、こんなことおもいついてもやろうとしないでしょう。 それにしてもパーカーの独白のようなひっそりとした「I Can't Believe That You're in Love with Me」等の録音ソースがこんなに賑々しく彩られて、スイングするものにさせられてしまうとは・・・。
1999. 9.28 よういち
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