はじめに (哀しきパーカーフリークに捧ぐ)  

 

チャーリー・パーカーによる中毒症状というものは、かなりタチの悪いものだとおもいます。

パウエル、コルトレーンたちのように、LP片面分を聴くだけでお腹がいっぱいになるジャズジャイアントと違って、チャーリーパーカーの場合食いごたえが充分あるくせに、なぜか一時間、二時間とエンドレスに聴き続けさせられてしまうという常習性があります。たとえ聴き続けて頭が痛くなってきても。

日常生活の中でも、前触れなく突然頭の中でパーカーの音楽が流れはじめることがあります。流れはじめたら最後、パーカーのソロフレーズがエンドレスで頭の中を駆け回りだします。

Driifting on a Reed... Bird Gets the Worm... Lester Leaps in....

もうやめられない、とまらない。

Public Domain
BIRD Smiles
さらに日常生活に支障をきたすだけでなく、CDなどを集めはじめたら経済状況にも確実に支障をきたします。

パーカーのCDは玉石混交、魑魅魍魎。海賊版の雨あられ。大バクチだとわかっていても手を出さずにはいられません。

おもいきって買ってみて家で聴いてみたら、録音状態が最悪で、嵐のようなノイズサウンドを楽しむはめになり、そのCDを買ったときのなけなしの金が頭に浮かんできてガクっとひざの力が抜けた経験をみなさんがされたことは、一度や二度ではないとおもいます。
そして、新発掘だと思って買った海賊版のCDの音源が、すでに自宅のCDの中に入っていることに気づいたことも、二度や三度ではないと信じています。

さらに、「別テイクが追加されている」「クロノジカルにまとまっている」「収録された演奏の再生ピッチが違う(!)」というだけで、すでに持っている音源の入ったCDを後悔するとわかっていながらもまた買ってしまう、そんな状態になるに至って、自分の人生を考え直すのも三度や四度ではすまないとおもいますが・・・、私だけじゃないよね・・・・・。

このサイトは、そんな廃人同然になってもむくわれないパーカーフリークのオアシスになるべくできました。幻の鳥を追いかける、という人生の中でもまったく無意味な活動ではありますが、あえてここで支えていきたいとおもっています。



1999. 2.16 よういち
 

 

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